立ち止まる勇気-司法試験・予備試験に確実に合格する勉強法の探究-

このブログは、司法試験受験指導予備校での経験等も踏まえて、筆者が司法試験に上位合格(2桁順位)するに至った勉強法を紹介しつつ、基本書の書評やときには司法試験問題の解説等の司法試験受験に有益な情報を発信し、ひいては少しでも多くの受験生の皆様に役立つ情報をお届けすることを志向するブログです。短期合格も大事ですが、合格の確実性の方が私はより重要だと思っていますので、「確実に」=「一発で」合格する勉強法を共に探り、法学を学ぶことの楽しさを司法試験の勉強からも感じ取っていただければ、望外の喜びです。

憲法の勉強法・その1(総論+雑感)

 本日は、憲法の勉強法を書いていきます。

 憲法については、基本書選びがとにかく大事です。

 小手先の技術で太刀打ちできない科目であるにもかかわらず、そのことには目をつむり、基本書をきちんと読むこともなく、「答案の書き方」や「違憲審査基準って使っていいの?」などという(私に言わせれば申し訳ないのですが)合格からは程遠い低レベルなところでいつまでも右往左往している受験生が目立ちます。

 憲法の答案に決まった書き方も型もありません、それよりも前に、憲法に関する主要判例と学説を「正確に理解」することを目指さないといけないわけです(当然のことですよね?)

 憲法の学習が難しい原因の1つは、学説も含めて一定の水準にまで到達しないと、判例学習が深まっていかない点にあると思います。例えば、平等原則に関する問題が出題されたとき、ほぼすべての事案において、国籍法3条1項違憲判決(最大判平20・6・4民集62巻6号1367頁)を参照した答案が書けるのですが、ピンときますでしょうか。司法試験(予備試験)においては、判例を参照した答案を書くことが求められていますが、予備校が作成する参考答案には、平成が終わった今日においてなお、判例の参照がまるでない答案やとても参照とは呼べないレベルの言及しかない答案が散見されます。

 これは見方を変えるとチャンスです。すなわち、まだほとんどの受験生が「判例を参照した」答案を書くことができないので、それさえできてしまえば相対的に上位に浮上します。私は自称憲法1桁順位ですが、そう確信しているのは、答案の4分の1は判例の射程の検討で、かつ、最も踏み込んだ検討をしているのもそこだからです。

 さて、勉強法に話を戻すと、憲法には「これ1冊で大丈夫」という書籍はありません。ないのですから、教材を絞るのはやめましょう、自殺行為です。手を広げないことも大事!、という意見を聞きますが、結論において誤りです。手を広げない、という鉄則は、「自分のキャパシティに比して過度に」手を広げること戒める一種の教訓であって、手を広げることそれ自体を悪とするものではないからです。憲法の学習は、一定程度、いろんな書籍を読んでいく必要があり、それをせずに「憲法でいい答案が書けない」と悩むのは、素振りもキャッチボールもせずに野球がうまくならないと嘆いているのと同じことです。

 以上の次第で、憲法はある程度、いろいろ読んでみることが必要不可欠なのですが、10冊も20冊も読んでいられる学生・受験生ばかりではないと思いますので、基本書等のchoiceが大事です。

 基本書等のレビューは ↓ の記事をご参照ください。

 

nunc-scitote.hatenablog.com

 

 人権分野の問題が出題される限りにおいては、立法又は(行政)処分の憲法適合性が問われることがほとんどだと予想されます。最近の試験傾向からすれば、法令違憲の問題がほとんどになるのかもしれません。そうすると、違憲審査基準をどのように定めるのか、を理解することがまずは出発点ということになってきそうですね。

 ここまでのことをまとめると(若干の敷衍も含みます)、

 ①基本書・演習書は数冊手元に置いておき、通読を目指す(まとめノートを作っている方は適宜まとめノートに理解をまとめていく)

 ②違憲審査基準の定め方を理解する

 ③違憲審査基準の定め方、との関係で主要判例の位置づけ・判示の意味合いを押さえていく(この判例ってこういうことを言ってるんだよね、というぼんやりしたものでは無意味です。この判例は、違憲審査基準の審査密度を決定するに際して、こういう論理の下でこういう事実を重視しているね、ということまで理解し、かつ、自分の言葉で説明し、射程距離が把握できる必要があるのです。)

 という学習が必須になります。当てはめはその次ですが、違憲審査基準の定め方をきちんと理解できる頃には自然とあてはめの仕方も身についてきていると思います。 

 

 ところで、ここまで読んでいただいた方の中には、それでもなかなか勉強法がつかめない方も少なくないと思います。追って、このブログで自作教材及びそれを用いた講義(あるいは少人数webゼミ)のご案内をする予定なので、必要に応じてご検討ください。この教材は、受験生が目を通すべき教材や論文のほとんどに目を通した筆者が「判例を用いて答案を書くこと」ができるようになることを志向して作成したもので、皆さんが基本書や演習書のみからやや膨大な時間をかけて憲法の勉強を進めていかれるところをショートカットすることを目的としています。私の教材と講義を吸収してもらえれば、どんな事案でも、皆さんが知っている有名な判例を参照しながら答案が書けるようになります。過去の司法試験の問題は全て皆さんが知っている最高裁判例を参照して説得的に違憲審査基準を定めることができる事例ばかりです。これに気付いていない方は、まだまだ判例学習の道半ば、ということですね。乞うご期待。

 もちろん、みなさんが基本書・演習書で着実に理解を深めていかれることを否定するものでもありませんので、あくまでも「必要に応じて」ご検討くださいませ。

 次回は、もう少し具体的に(各論的に)学習法を書いてみようと思います(私が実際にとった勉強法がベースです。)。科目の性質上、抽象的な説明にならざるを得ないのですが、ご参考になれば幸いです。おしまい。