立ち止まる勇気-司法試験・予備試験に確実に合格する勉強法の探究-

このブログは、司法試験受験指導予備校での経験等も踏まえて、筆者が司法試験に上位合格(2桁順位)するに至った勉強法を紹介しつつ、基本書の書評やときには司法試験問題の解説等の司法試験受験に有益な情報を発信し、ひいては少しでも多くの受験生の皆様に役立つ情報をお届けすることを志向するブログです。短期合格も大事ですが、合格の確実性の方が私はより重要だと思っていますので、「確実に」=「一発で」合格する勉強法を共に探り、法学を学ぶことの楽しさを司法試験の勉強からも感じ取っていただければ、望外の喜びです。

ブログ始めてみました~司法試験合格を目指す人への一助となることを願いつつ~

 はじめまして。

 本ブログは司法試験合格に向けた勉強法の探究とその紹介を目的とするものです。

 単なる知識の暗記や受験技術に頼らず、正確な理解に基づいて「確実に」合格を勝ち取っていただくことを目指す方向けに日々更新できればと思います。必要に応じて、種々の論点についても筆者としての理解、そして、司法試験受験生として求められるであろう最低限の理解をお伝えできればと思っています。

 司法試験受験指導予備校での講師経験も踏まえ、こういう人は落ちる…という感覚や、こういう答案は点数が低いという感覚もそれなりにあるように思いますので、読者のお役に立つ情報提供ができればうれしいです。

 筆者は、新司法試験に、論文総合75位(公法系・民事系は2桁順位、選択科目(倒産法)は1桁順位)で合格しました(憲法は自称1桁順位)。順位はまぐれかもしれないのですが(笑)、合否はまぐれではありません(5万回受ければ、5万回合格したと思います。)。

 短期合格しか視野にない、という方には必ずしもお役に立たないかもしれませんが、確実に一発で合格したい、という方にはそれなりに有益な視点や学習法をお伝えできるかと思います。

 キーワードは「立ち止まって考える」です。答案の書き方、これだけ読めばという教材には皆さん目が向きがちだと思いますが、そのどれも「確実に一発で」合格するという目標との関係では有益でないことがほとんどです。目先にばかり目を向けず、急がば回れの精神で、都度、「立ち止まって考え」、着実に一歩ずつ力をつけることが肝要です。その勇気が大事です、「今日、全然演習できなかった…」となってもいいのです。その代わり、司法試験までにもう二度とその論点で立ち止まらなくてよくなるのですから。

 1つ例を挙げます。

 私は、一時期、刑法という科目の不真正不作為犯というテーマが苦手でした。より具体的には、どのようにして作為義務を措定(≒設定・特定)するのかが分からず、答案においても、先行行為などのキーワードらしい用語を貼り付けてそれっぽいことを書くことしかできませんでした。それなりに刑法は好きでよく勉強していたつもりでしたが、やはりいつも分からないのです…。

 そこで、6時間くらいかけて、山口先生、西田先生、佐伯先生、井田先生、高橋先生…と順に刑法の基本書を読み、刑法の争点のような短いものから比較的長めの論文まで一気に読んでみたのです(論文は著名な研究者の権威あるもののみ)。

 そうすると、どこまでが全員の共通の前提で、どこからが分かれ目なのかが見えてきました、有名な判例でいえば、例えば、いわゆるシャクティパット事件判決をどのように理解するか、について、議論の分かれ目が見えてきたのです。

 その理解をまとめノートに自分の言葉でまとめ、上記「共通の前提」を論証パターンにして、シャクティパット事件を例に当てはめを再度メモしてみました。それからは、作為義務の措定について、目の前の事案は何を悩んでほしくて出題されているのか、あるいは問題の背後にある論文や問題意識は何か、が見えてきたりするようになりました。

 何を申し上げたいかというと、

 「分からないときは立ち止まり、わかるまで徹底的に調べ、考え、まとめておく

 ことが重要だということです。

 分からない論点や概念があったときに、雑な調べ方や復習のみして次に進んでしまうと、結局また次にその問題に出会ったときに分からないのです。仮にこのような現象が起こったとすれば、前回の復習は「時間の無駄」だったことになります(だって、まだ分からないままなのですから。)。

 しかし、世の受験生の多くは、あまり腰を据えて調べず、「これってどう書くの?」と、理解の到達度も不明な周囲の友人等に聞き、あるいは再現答案等で顔も見たことのない、これまた理解度も分からない第三者の論述を見て納得し(た気になっ)てしまうのです。冷静に考えれば、かなり危ない橋を渡って満足した気になろうとしていることは明らかかと思います。

 この現象を自覚し、少しでも多くの典型論点を深く理解しようとすることが、「確実に」合格する最短ルートだと思います。私は、上記のリサーチを経た後は、不真正不作為犯で悩むことなどなくなり、むしろ得意な領域になりました。これを間接正犯論、共謀の射程、共犯の離脱、原因において自由な行為…と続けていけば、刑法は怖いものなしになります(多分)。

 こんな感じで、「立ち止まる勇気」も大切だということが少しでも伝わればと思います。仕事の合間にしか更新できませんが、引き続き、よろしくお願いいたします。